ヒト幹細胞培養液は育毛・発毛に効果的?女性にも効く?注意点など解説!

「ヒト幹細胞って薄毛にも効果があるの?」

「ヒトの細胞を使うことって安全なの?」

ヒト幹細胞の培養液による薄毛の治療をお考えの方の中には、上記のような疑問をお持ちの方が多いものです。

動植物ではなくヒトの細胞を用いた治療である点に、少なからず抵抗感が生まれることはあるかもしれません。しかし、ヒト幹細胞による治療の流れや安全性、効果などについて理解が深まれば、安心して治療に臨めるのではないでしょうか。

今回は、ヒト幹細胞培養液による薄毛治療のメカニズムや効果、注意点などについてお話しします。ぜひ、最後までお見通しください。

ヒト幹細胞とは

幹細胞とは下記に挙げる機能を持ち、特定の機能に特化する前段階の細胞を指します。

自己複製機能自分と同じ性質の細胞を複製する
分化機能あらゆる組織の細胞を生み出す

そもそも、皮膚や血液、消化器官のような細胞の寿命が短い部位では絶えず新しい細胞と古い細胞が入れ替わり続けています。この仕組みを維持する上で、細胞の再生・補填に働くのが幹細胞。

幹細胞が持つ性質は再生医療に応用できるため、近年ではさまざまな研究が行われたり実際に治療に用いられたりしています。

ヒト幹細胞による薄毛治療とは

ヒト幹細胞を用いた薄毛の治療ではヒト幹細胞がそのまま用いられるのではありません。そもそも、薄毛の治療に用いられるヒト幹細胞培養液とは、ヒトの脂肪組織から抽出した脂肪幹細胞を元に作られたもの。この脂肪幹細胞を培養した後に上澄みとして生じた部分が培養液として使用されることとなります。

なお、薄毛治療で使用される脂肪幹細胞は安全性の高さに定評のある間葉系幹細胞にあたるもの。間葉系幹細胞は、発がんのリスクが懸念されるIPS細胞・受精卵由来であるため倫理面で議論されるES細胞とは異なり、安心して使用できる細胞です。

また、間葉系幹細胞は脂肪の他にも骨髄・歯などから採取し、あらゆる組織に分化させることができるため、近年ではアンチエイジングや皮膚炎、変形性膝関節症など様々な治療に活用されています。

間葉系幹細胞とは
特定の組織から採取し、神経や骨、脂肪などの細胞を生み出すことのできる幹細胞のこと。安全性が高く美容医療・再生医療において活用されている。

IPS細胞とは
2006年、京都大学の研究グループによって開発された世界初となる人工的な幹細胞を指す。体細胞に特定の遺伝子を組み込み、機能の特殊化(分化)が進む前の状態にまで戻すことで抽出。増殖力に優れた幹細胞である一方、組み込む遺伝子に発がん作用があることが懸念されている。

ES細胞とは
受精卵の一部を分離したものから作られた幹細胞。受精卵は不妊治療の現場で保存されたまま使われることのなくなったものを使用。IPS細胞と同様、増殖力に優れているが受精卵を原料としている点に倫理的な問題があるとされている。

ヒト幹細胞培養液による治療の効果について

ヒト幹細胞培養液を頭皮に使用することによって、乱れたヘアサイクルを正常化し薄毛を改善することができます。なぜなら、培養液には脂肪幹細胞から分泌された成長因子と呼ばれるタンパク質が豊富に含まれているためです。

このタンパク質はコラーゲンやヒアルロン酸、エラスチンなどの生成をサポートしたり損傷を受けた細胞の修復に働いたりしてくれるもの。主要なタンパク質には下記に挙げるものがあります。

名称作用
EGF(上皮増殖因子)皮膚細胞の活性を促すことで、頭皮の新陳代謝をサポート。
TGF-β(トランスフォーミング増殖因子)炎症を抑えたり傷口を修復したりする
IGF(インスリン様増殖因子)頭皮の光老化を抑制。コラーゲン・エラスチンなどの産生をサポート。
VEGF(血管内皮細胞増殖因子)血管の強化に働き血行の促進をサポート。
HGF(肝細胞増殖因子)線維芽細胞を増やし、コラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸などの産生をサポート。
PDGF(血小板由来増殖因子)細胞の分裂をサポート。毛母細胞の活性に作用。
TIMP(MMP阻害因子)タンパク質の保持。
FGF(線維芽細胞増殖因子)血管の強化。傷口の修復。
KGF(ケラチノサイト増殖因子)毛母細胞の増殖をサポート。

培養液を頭皮に塗布することによって、上記の成長因子が頭皮に作用。毛母細胞や毛乳頭細胞、毛包幹細胞といった髪の毛を生み出す細胞を活性したり頭皮の環境を健全な状態にしたりすることができるのです。

ヒト幹細胞培養液はAGA(男性型脱毛症)にも有効

AGAとは男性ホルモンの影響で起きる脱毛症のことです。主要な男性ホルモンであるテストステロンが酵素である5αリダクターゼと結合することによって脱毛因子の元となるDHTを生成。AGAはDHTが増えることによって脱毛が生じる病気です。

AGAの治療は内服薬・外用薬の併用が一般的ですが、これらは人によっては効果が実感できなかったり副作用が生じたりすることがありました。そこで、効果面・安全面ともに優れたAGA治療法として注目を集めているのがヒト幹細胞培養液による治療なのです。

ヒト幹細胞培養液によるAGA治療では、配合される成長因子を頭皮に塗布・注入し、育毛・発毛を促進。従来のAGA治療法とは異なり、毎日薬剤を服用する必要はなく、ヒト幹細胞培養液を定期的に塗布・注入する方法となります。副作用の心配がないことが大きなメリットといえるでしょう。

ヒト幹細胞培養液による薄毛治療のメリットとは

ヒト幹細胞培養液による薄毛の治療には下記に挙げるメリットがあります。

  • 性別問わず受けられる
  • 副作用が数ない
  • 品質が高い
  • 毛髪を健康な状態にしてくれる
  • 手軽に施術を受けられる

以下にてそれぞれのメリットを具体的に解説します。

性別問わず受けられる

薄毛の治療では薬剤によって性別が限定されることがありますが、ヒト幹細胞培養液については男性だけでなく女性にも使用することができます。

例えば、AGA治療に使用されるデュタステリド・フィナステリドなどは女性への使用が推奨されていません。これらは男性ホルモンに作用する薬剤であり、女性の薄毛への効果が薄いこと・妊娠への悪影響の可能性などが懸念されるものです。

一方、ヒト幹細胞培養液に含まれる豊富な成長因子に関しては、男女問わずヘアサイクル・頭皮の環境を整えることに有効。女性も安心して治療を受けることができるのです。

副作用が少ない

ヒト幹細胞培養液による薄毛の治療では基本的に副作用が起こりません。なぜなら、培養液に含まれる成分はあくまで幹細胞から分泌された成長因子のみであるためです。幹細胞自体が培養液に入ることはないため、拒絶反応を起こす心配はなく安心して使用することができるのです。

また、培養液はヒトから採取した幹細胞を元に作られているため、人為的なIPS細胞に懸念される発がんのリスクもありません。複数回の使用においても安心できる治療法といえます。

品質が高い

薄毛の治療に使用されるヒト幹細胞培養液は、幹細胞の質や活性面、衛生面において高品質なものです。培養液は安全性・品質を維持するために下記に挙げる過程を経て生成されます。

  1. 脂肪幹細胞のドナーに対し、感染症・遺伝性の病気の有無を検査する
  2. 脂肪幹細胞の培養には効果面で安定性に優れた完全無血清培地(動物由来の血清を使用しない培地)を使用する
  3. 脂肪幹細胞を培養する回数を極力少なくすることで、細胞の劣化を抑える
  4. 培養液の上澄み部分を遠心分離し、滅菌処理を行う

また、培養液は生きた幹細胞から生成されるが故に細胞の活性が劣化すると薄毛に対する効果が薄れてしまいます。クリニック・サロンを選ぶ際には、培養液の品質に着目してみると良いでしょう。

毛髪を健康な状態にしてくれる

ヒト幹細胞培養液には頭皮の環境を整える成長因子が豊富に含まれているため、薄毛の他にも髪の毛のハリ・こしの維持や頭皮の肌荒れの改善、白髪の予防などにも効果的です。培養液による治療で健全な頭皮を目指すことであらゆる頭皮・毛髪トラブルを解消することができるのです。

手軽に施術を受けられる

ヒト幹細胞培養液による薄毛治療は美容院やサロン・クリニックなどで手短に施術を受けることができます。施術にかかる時間は5分から10分程度。副作用・ダウンタイムもないため、スケジュール調整・アフターケアなどに注意することなく手軽に施術を受けることができます。

ヒト幹細胞培養液による治療の注意点とは

ヒト幹細胞培養液による治療には下記に挙げる注意点を留意する必要があります。

  • 施術中の痛み
  • 費用は全て自己負担
  • 効果の実感を得られるまで時間がかかる

以下にてそれぞれの注意点を解説します。

施術中の痛み

ヒト幹細胞培養液を初めて頭皮に塗布する際、痛みや赤み、熱を帯びたような感覚が生じることがあります。これらは成長因子による細胞の急激な活性によって起こるものと考えられていますが、2度目以降の治療からは次第に痛みはなくなっていくことが多いようです。

刺激が苦手な方は、事前のカウンセリングにて担当者に相談しておくことをおすすめします。

費用は全て自己負担

ヒト幹細胞培養液による薄毛の治療は保険が適用されないため、全額自己負担となります。クリニックで治療を受ける場合、1度の施術にかかる費用は4万円から10万円程度。これは同じく薄毛治療に用いられるプロペシアがひと月で8000円程度の費用で済むことを考えると、非常に高額であるといえるでしょう。

効果の実感を得られるまで時間がかかる

ヒト幹細胞培養液の成長因子が頭皮の細胞を活性し、薄毛の改善効果が現れるまでは3ヶ月程度かかります。1度の施術では目に見えた効果が見られないため、複数回の施術が必要となります。

クリニックにて治療を受ける場合は前述のように費用が高額になる可能性があります。施術の頻度・回数は頭髪の状態によって異なるため、あらかじめ担当者とのカウンセリング時に相談しておくと良いでしょう。

ヒト幹細胞による薄毛の治療についてよくある質問

最後にヒト幹細胞による薄毛の治療でよく挙がる質問を紹介します。

Q.ヒト幹細胞培養液は効果がないって本当ですか?

ヒト幹細胞培養液に含まれる豊富な成長因子は男女問わず頭皮の環境を整える上で有効です。しかし、薄毛の原因が不規則な生活や食生活の乱れ、過度のストレスである場合、これらを改善しないまま治療を行っても効果が薄れてしまうことがあります。

培養液によってヘアサイクルを整えるためには、薄毛を引き起こす生活習慣を見直すことが重要なのです。薄毛の原因について施術担当者に相談してみても良いでしょう。

Q.ヒト幹細胞による育毛治療はサロンのヘッドスパで受けられますか?

サロンの中には、ヒト幹細胞培養液をヘッドスパとセットで提供しているところがあります。クリニックでの施術よりもリーズナブルな価格であるため、気軽に施術を受けられることがメリット。ただし、強い効果をお求めの場合はクリニックでの治療をおすすめします。

Q.ヒト幹細胞培養液は頭皮に注射するのですか?

ヒト幹細胞培養液による薄毛の治療には患部への注射や塗布、鍼灸針による注入など様々な方法があります。体の状態・好みに合わせて施術を選ぶと良いでしょう。

Q.初期脱毛のうちにヒト幹細胞による治療を行うと効き目はありますか?

薄毛が初期の状態であるほど、ヒト幹細胞による治療の効果は感じやすくなります。培養液による毛母細胞や毛包幹細胞、毛乳頭細胞などの活性から発毛・育毛の効果が感じられるまでは脱毛の状態に応じた時間がかかるものです。早い段階で治療を始めることによって、薄毛の早い回復を目指すことができるでしょう。

なお、ヒト幹細胞による治療は安全性が高く、初期脱毛の方にも副作用の心配はありません。薄毛が気になるけれど副作用が怖い方は、ヒト幹細胞培養液による治療を検討してみてはいかがでしょうか。

Q.ヒト幹細胞培養液を使った女性用の育毛剤はありますか?

ヒト幹細胞培養液を使った育毛剤の多くは男女兼用で使用することが可能。育毛剤の中には男性ホルモンの抑制に働きかけたり、頭皮の皮脂をスッキリと除去したりするものがあります。これらは女性の薄毛にとって効果がない上、頭皮の保湿を重視する上で逆効果となってしまう恐れがあります。ヒト幹細胞培養液を使った育毛剤においては頭皮に成長因子を与えることで薄毛を改善するため、男女問わず有効なのです。

まとめ

ここまでヒト幹細胞とは何かやヒト幹細胞培養液を使った薄毛治療のメリット、注意点などについてお話ししてきました。改めて本記事の重要ポイントを下記にまとめます。

  • ヒト幹細胞による薄毛治療で使用されるのは、幹細胞本体ではなく成長因子を含む培養液の上澄みである。
  • ヒト幹細胞による薄毛治療では頭皮の新陳代謝を整えヘアサイクルを正常な状態に戻す上で効果的である。
  • ヒト幹細胞による薄毛治療の注意点は、保険適用外であること・初回の施術で痛みが生じることがあることである。

本記事を通して、薄毛を初めとしたあらゆる頭皮・髪の毛のトラブルに悩む方々が安全性の高いヒト幹細胞による治療法を知り、健全な髪の毛を目指していくサポートが出来れば幸いです。

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