- 「ナイアシンが髪良いって聞いたけど、そもそもナイアシンって何?」
- 「ナイアシンを摂ると薄毛が改善できるって本当?」
この記事を読まれている方は、このような疑問を持たれているのではないでしょうか。そこで本記事ではナイアシンの成分概要から髪に与える影響まで詳しく解説いたします。最後にはナイアシンに関するよくある質問についてもまとめていますので、ぜひお目通しください。
目次
ナイアシンとは
ナイアシンとはビタミンB群の一種でビタミンB3とも呼ばれます。
500種類以上もの酵素の働きを助ける補酵素であり、体の代謝には欠かせない栄養素であり、不足してしまうと、体に様々な影響が生じてしまいます。
また、ナイアシンはニコチン酸とも呼ばれますが、これはタバコのニコチンと化学構造が似ていることから名づけられただけであり、タバコに含まれる有害なニコチンとは無関係です。
ナイアシンが髪に与える効果
ナイアシンは、髪の基となる毛母細胞や毛乳頭の活性化を直接的に促すものではありません。しかし、500種類以上もの酵素の働きを助けることから、間接的に多方面で髪の毛に良い影響を与えます。
ナイアシンが髪に与える効果としては、主に以下の2点が挙げられるでしょう。
- 血行促進による髪の成長をサポート
- 栄養の消化吸収を高め髪の成長サポート
それぞれ詳しく解説していきます。
血行促進によって髪の成長をサポート
ナイアシンには毛細血管を広げる作用があり、血行促進の効果が期待できます。
髪の毛に必要な栄養素は血によって頭皮へと運ばれてくるため、血行の状態は重要。血行不良の場合には、十分に髪の毛が成長できないという事もあります。
また、血行促進によって得られる効果は多くあり、肩こりや頭痛の改善、脳神経の働きが良くなることで頭が冴えるといったことも挙げられます。
栄養の消化吸収を高め髪の成長をサポート
体のエネルギーとなるタンパク質・糖質・脂質の消化吸収には様々な栄養素が必要となり、多くの栄養素のサポートをナイアシンが行っています。
特にタンパク質は髪の毛の成長に必要不可欠。というのも、髪の毛の80%~90%はケラチンと呼ばれる18種類ものアミノ酸によって作られたタンパク質からできているためです。
ナイアシンを十分に摂ることで、栄養の消化吸収を高め、髪の毛の成長をサポートしてくれます。
育毛効果や抜け毛予防に効果的であるとは言い難い
あらゆる観点から髪の毛の成長にはかかせないナイアシン。しかし、直接的に毛母細胞や毛乳頭細胞を活性化させる効果や、AGAの原因である5αリダクターゼを抑制すると言った効果は判明していません。
食事による栄養バランスが乱れていることで薄毛が進行している場合には、ナイアシンの摂取によって一定の効果を見込むことはできると考えられます。
しかし、AGAによって抜け毛が進行している方が、ナイアシンを摂取したからと言って薄毛の進行が止まるといったことは非常に考え辛いでしょう。
髪の毛にとって必要不可欠な栄養素であることは変わりないため、日々の食生活が乱れていると感じる方は積極的に摂取するようにしましょう。
ナイアシンの必要摂取量
ナイアシンの必要摂取量は性別や年齢によって異なります。以下、性別毎に解説していきます。
男性におけるナイアシンの摂取量目安
年齢等 | 推定平均必要量 | 推奨量 | 目安量 | 耐容上限量b |
---|---|---|---|---|
0~5(月)d | - | - | 2 | - |
6~11(月) | - | - | 3 | - |
1~2(歳) | 5 | 6 | - | 60(15) |
3~5(歳) | 6 | 8 | - | 80(20) |
6~7(歳) | 7 | 9 | - | 100(30) |
8~9(歳) | 9 | 11 | - | 150(35) |
10~11(歳) | 11 | 13 | - | 200(45) |
12~14(歳) | 12 | 15 | - | 250(60) |
15~17(歳) | 14 | 17 | - | 300(70) |
18~29(歳) | 13 | 15 | - | 300(80) |
30~49(歳) | 13 | 15 | - | 350(85) |
50~64(歳) | 12 | 14 | - | 350(85) |
65~74(歳) | 12 | 14 | - | 300(80) |
75以上(歳) | 11 | 13 | - | 300(75) |
引用:厚生労働省 – 日本人の食事摂取基準(2020年版)各論
女性におけるナイアシンの摂取量目安
年齢等 | 推定平均必要量 | 推奨量 | 目安量 | 耐容上限量c |
---|---|---|---|---|
0~5(月)d | - | - | 2 | - |
6~11(月) | - | - | 3 | - |
1~2(歳) | 4 | 5 | - | 60(15) |
3~5(歳) | 6 | 7 | - | 80(20) |
6~7(歳) | 7 | 8 | - | 100(30) |
8~9(歳) | 8 | 10 | - | 150(35) |
10~11(歳) | 10 | 10 | - | 150(45) |
12~14(歳) | 12 | 14 | - | 250(60) |
15~17(歳) | 11 | 13 | - | 250(65) |
18~29(歳) | 9 | 11 | - | 250(65) |
30~49(歳) | 10 | 12 | - | 250(65) |
50~64(歳) | 9 | 11 | - | 250(65) |
65~74(歳) | 9 | 11 | - | 250(65) |
75以上(歳) | 9 | 10 | - | 250(60) |
妊婦(付加量) | 0 | 0 | - | - |
授乳婦(付加量) | 3 | 3 | - | - |
引用:厚生労働省 – 日本人の食事摂取基準(2020年版)各論
耐用上限量を超えた摂取を続けることで起こる健康被害
年齢によっては男女ともにナイアシンの耐用上限量が定まっています。過剰摂取を行うことで、以下の健康被害が確認されています。
- 血管拡張
- 下痢や嘔吐
- 消化管の疾患
サプリメントを使用している方は過剰に摂取してしまうケースが多いため、注意するようにしましょう。
ナイアシンが多く含まれる食材
ナイアシンは魚介類に多く含まれていますが、意外なことに最も多く含まれている食材は舞茸です。ナイアシンが多く含まれる食材の詳細については以下の通りです。
順位 | 食品名 | 成分量 100gあたりmg |
---|---|---|
1 | きのこ類/まいたけ/乾 | 64.1 |
2 | 魚介類/<魚類>/(たら類)/すけとうだら/たらこ/焼き | 56.9 |
3 | 魚介類/<魚類>/(たら類)/すけとうだら/たらこ/生 | 49.5 |
4 | し好飲料類/<コーヒー・ココア類>/コーヒー/インスタントコーヒー | 47.0 |
5 | 魚介類/<魚類>/(かつお類)/加工品/かつお節 | 45.0 |
6 | 魚介類/<魚類>/(かつお類)/加工品/裸節 | 44.6 |
7 | 魚介類/<魚類>/(かつお類)/加工品/削り節 | 37.4 |
8 | 魚介類/<魚類>/(かつお類)/加工品/なまり節 | 35.0 |
9 | 穀類/こめ/[その他]/米ぬか | 34.6 |
10 | 種実類/らっかせい/大粒種/いり | 23.1 |
10 | 調味料及び香辛料類/<その他>/酵母/パン酵母/圧搾 | 23.1 |
12 | 調味料及び香辛料類/<その他>/酵母/パン酵母/乾燥 | 22.0 |
13 | 魚介類/<魚類>/(まぐろ類)/びんなが/生 | 20.7 |
14 | 魚介類/<魚類>/(たら類)/すけとうだら/からしめんたいこ | 19.9 |
15 | 種実類/らっかせい/大粒種/乾 | 19.5 |
ナイアシンに関するよくある質問
最後にナイアシンに関するよくある質問について回答いたします。
Q. ナイアシンが白髪に効果があるというのは本当ですか?
メラニン色素を生成する組織である、メラノサイトの働きを間接的にサポートするため、白髪の原因がナイアシンの欠乏である場合には、白髪が改善されることはあるでしょう。
しかし、髪の毛のメラニン色素生成にはナイアシン以外にもヨウ素など様々な栄養素が必要となる上、ナイアシンだけがピンポイントで不足しているという事は考え辛く、白髪への影響は微々たるものだと考えられます。
Q. ナイアシンは肌にも良い効果があるというのは本当ですか?
肌組織を生成するにあたって、タンパク質の摂取は欠かせません。タンパク質の分解・アミノ酸の再結合などにナイアシンは大きく関与するため、ナイアシンを摂ることで肌質が良くなることが期待できると言えます。
Q. ナイアシンフラッシュとは何ですか?
ナイアシンフラッシュとは、ナイアシンによって末梢血管が拡張され、血流が促進されることで体が赤く・痒くなる症状のことを指します。
ナイアシンフラッシュはナイアシンがきちんと作用している証拠でもあり、軽度の症状であれば数時間程度で落ち着きます。慢性的に続く用であれば医師に相談しましょう。
まとめ
今回はナイアシンと髪の関係性について解説いたしました。本記事で重要なポイントは以下の3点です。
- ナイアシンは500種類以上の酵素の働きをサポ―トする補酵素であり生命活動において欠かせない栄養素
- 間接的に髪の成長をサポートすることはあるが直接的な育毛効果・抜け毛予防効果は見込めない
- 耐用上限量が定められており、過剰摂取することで下痢や嘔吐などの健康被害が起こることも