後頭部のハゲはAGAが関係?つむじとの違いや薄毛の原因、改善に向けた対策を解説

「いつの間にか後頭部がはげていた…」

「自分の後ろ姿の写真を見て、後頭部の薄毛に気が付いた…」

あなたには、このような後頭部の薄毛の悩みはありませんか?

後頭部は身だしなみを整えるときにも鏡に映らないため、気付きにくい箇所です。さらに、薄毛はデリケートな悩みなので、他の方からの指摘も期待できないでしょう。

つむじハゲと混同されやすい後頭部の薄毛ですが、実は原因も場所も異なります。つむじハゲの原因は、主にAGAです。一方で、後頭部の薄毛は、つむじよりも後ろにあり、原因もAGAとの関連性は低いと言われています。

本記事では、後頭部がはげる原因や対策、AGAとの関係性について解説しています。後頭部の薄毛にお悩みの方は、ぜひ最後までお目通しください。

後頭部がはげる原因とAGAの関係

AGAは多くの薄毛の原因です。後頭部の薄毛にもAGAが関係しているのかどうか、確認していきましょう。

後頭部のはげは、AGAである可能性は低い

はげる原因として、真っ先にAGAが思い当たるかもしれません。AGAとは、男性ホルモンが原因の脱毛症で、ヘアサイクルにおける成長期が極端に短くなってしまい、薄毛になってしまう病気です。

ヘアサイクル(毛周期)とは、「成長期」「退行期」「休止期」の3つの段階がある髪の毛の一生のこと。成長期が短いと髪が十分に成長できずに、1本1本が細くて短い状態になって抜けやすくなったり、ボリュームが少なく見えたりします。

しかし、後頭部の薄毛に関しては、AGAが原因である可能性は低いと考えられます。その理由は、AGAが発症する原因の1つである5αリダクターゼにあります。

5αリダクターゼとは、人間の身体に存在する還元酵素の1つで、人間の体内になくてはならない物質です。その5αリダクターゼには、Ⅰ型とⅡ型の2つのタイプがあり、それぞれ特徴が異なります。

5αリダクターゼⅠ型とⅡ型の両方で、AGAによる薄毛になる可能性はあります。しかし、AGAにつながる可能性がより高いのはⅡ型で、AGAの原因物質であるDHT(ジヒドロテストステロン)と結合しやすいことが理由です。なお、頭皮の中でⅡ型が主に存在している箇所は、生え際や前頭部、頭頂部など。一方で、5αリダクターゼⅠ型は、主に後頭部や側頭部に存在しています。

以上の理由から、後頭部はAGAの原因の1つである5αリダクターゼⅡ型の影響を受けにくいため、AGAが原因の薄毛である可能性は低いと言えるでしょう。

後頭部のはげにも例外的にAGAがある

後頭部の薄毛の原因はAGAである可能性は低いでしょう。しかし、ここでは例外的にAGAの可能性がある例を紹介します。

後頭部に5αリダクターゼⅡ型が多く存在する

後頭部に存在している5αリダクターゼは、基本的にはⅠ型です。しかし、人によっては、後頭部にⅡ型が多く存在している場合もあります。その場合は、後頭部でも5αリダクターゼⅡ型による影響を受けるでしょう。

頭頂部のAGAが進行する

頭頂部は、5αリダクターゼⅡ型の影響を受けてAGAになる可能性がある箇所です。AGAは進行性の病気のため、放置すると症状がどんどん進行します。進行が進んだ結果、頭頂部と後頭部がつながってしまうこともあるでしょう。

後頭部がはげる6つの原因

後頭部がはげる理由について、考えられる6つの原因とその理由を紹介します。

  • 頭皮の血行不良
  • 頭皮の栄養不足
  • 過度なストレス
  • 生活習慣の乱れ
  • 外的要因
  • 病気

頭皮の血行不良

薄毛全般の原因となり得るのが頭皮の血行不良です。血行不良により薄毛になる仕組みは以下の通りです。

  1. 頭皮が血行不良に陥る
  2. 頭皮に栄養が十分に届かなくなる
  3. 栄養不足により、毛乳頭・毛母細胞の活動が弱まる

栄養は、血液と共に頭皮へ運ばれます。しかし、頭皮の血行が悪くなると栄養が頭皮へ十分に届かなくなり、髪の発毛・成長に欠かせない「毛乳頭」「毛母細胞」が栄養不足のため活動が低下します。その結果、ヘアサイクルの乱れや薄毛につながります。

頭皮の栄養不足

お伝えしたように、髪の毛の成長には頭皮の栄養が欠かせません。しかし、食生活の偏りなどによって身体が栄養不足に陥る場合、血液が頭皮に十分に届いたとしても、うまく髪の毛が育たずに薄毛につながる可能性があります。

過度なストレス

過度なストレスも、薄毛になり得る原因の1つです。過度なストレスは、自律神経のバランスが崩れる結果、血行不良の状態になるためです。

血行不良は、頭皮への血液や栄養が不足したり、頭皮に老廃物が蓄積したりすることで薄毛の一因になります。

生活習慣の乱れ

生活習慣は様々な要因から成り立っています。その要因の1つ、または複数が乱れることで薄毛につながります。ここでは、乱れやすい4つの生活習慣を紹介します。

  • 食事
  • 運動
  • 睡眠
  • 喫煙

食事

偏った食事を続けることによる頭皮の栄養不足は、薄毛の原因になり得ます。髪を発育し、育てるためには適切なビタミンやミネラル、たんぱく質などの栄養素が必要です。

運動

運動不足により身体全体の血行不良を引き起こし、頭皮に血液や栄養を十分に届けることが難しくなります。

睡眠

慢性的な睡眠不足も、薄毛につながる要因の1つです。その理由は、睡眠不足によって成長ホルモンの分泌が不足するためです。

睡眠中に身体の中で作られる成長ホルモンが不足すると、ターンオーバーが乱れて未成熟な角質が重層化し、乾燥や血行不良による頭皮環境の悪化ひいては薄毛を引き起こします。

さらに成長ホルモンは、毛母細胞の増殖や活性化を促すIGF-1という物質を生成します。成長ホルモンが不足することはIGF-1も不足することになるため、髪の毛の発毛・成長に欠かせない毛母細胞が「増殖しない」「活性化しない」ということになるのです。

喫煙

喫煙は薄毛になる複数の要因を含んでおり、具体的には以下の3つです。

  • ニコチンによる頭皮の血行不良
  • DHTによる髪の成長期の短縮
  • ビタミンCの消費による頭皮の硬化

まず、タバコに含まれるニコチンは、血管の収縮による血行不良を引き起こします。

つぎに喫煙は、AGAの原因物質の1つであるDHT(ジヒドロテストステロン)を、頭皮に発生させやすくします。このDHTは髪の発育に悪影響を与える男性ホルモンで、ヘアサイクルの成長期に髪の毛が成長するのを妨げます。

最後に喫煙は、ビタミンCを大量に消費することにより、コラーゲン不足に陥ります。コラーゲンには皮膚を構成したり、肌に弾力を与えたりする機能があり、不足すると頭皮が固くなります。頭皮が固くなると新しく生まれた柔らかい毛が外に出にくくなります。

外的要因

長時間の帽子の着用やヘルメットの装着などの外的要因による頭皮の圧迫で、血行が悪化して薄毛につながることもあります。このような、外的要因による薄毛のことを圧迫性脱毛症、または機械的脱毛症と呼びます。

病気

後頭部の薄毛は、病気の可能性もあります。考えられる病気には、以下の3つがあります。

  • 脂漏性脱毛症
  • 自己免疫疾患
  • 甲状腺疾患

脂漏性脱毛症

頭皮の皮脂の過剰分泌により、頭皮の炎症や湿疹などを引き起こします。その結果、脱毛による薄毛につながります。

また、脂漏性脱毛症は「マラセチア真菌」という皮膚の常在菌の一種であるカビが関与している場合もあります。通常は悪影響を及ぼしませんが、皮脂量が過剰になった際には注意が必要です。その理由は、マラセチア真菌が皮脂や汗を食料として増殖するためです。

自己免疫疾患

免疫細胞は、身体の外から侵入しようとする細菌やウイルスなどを攻撃して、身体を守ります。しかし、ストレスや何らかの原因をきっかけに、免疫細胞が過剰に活性化すると、誤って自分の頭皮を攻撃してしまうのです。その結果、薄毛につながります。

自己免疫疾患による脱毛症の1つに、円形脱毛症があります。

甲状腺疾患

甲状腺は、喉ぼとけの下あたりにある、人が生きていく上で大切なホルモンを作る臓器です。甲状腺は適度に働く必要があり、働きすぎる過剰症は「バセドウ病」、うまく働かない低下症を「橋本病」と呼びます。

バセドウ病は、甲状腺の活動が過剰になることで、甲状腺ホルモンを作りすぎる病気です。甲状腺ホルモンは、身体の新陳代謝を高める機能を持つため、多汗や皮脂の増加が見られます。バセドウ病の脱毛の特徴は、成長する前に抜けるため、短くて柔らかい未熟な抜け毛が多いということです。また、 新陳代謝が良いので、抜けてもすぐに生えてきます。

一方で橋本病は甲状腺の活動の低下による病気のため、体温の低下(冷え性)や皮膚の乾燥などがあります。橋本病脱毛の特徴は、抜けた後の毛が生えにくいという点です。その理由は、毛母細胞の働きの低下によるヘアサイクルの「休止期」が延長することで、髪が育つ「成長期」になりにくいためです。

後頭部のはげを治したい!改善に向けた5つの対策

後頭部の薄毛を改善するための、具体的な対策は以下の5つです。

  • 適切なヘアケア
  • 生活習慣の改善
  • ストレスの解消
  • 外的要因を取り除く
  • 医師に相談

原因は様々で、複合的な可能性もあります。1つに特化した対策をするのではなく、複数の対策を同時並行で進めると良いでしょう。

適切なヘアケア

適切なヘアケアをするために、以下の3つの方法があります。

  • 自分の肌に合ったシャンプーを使用する
  • シャンプーやコンディショナーのすすぎを十分に行う
  • ドライヤーで乾かす

自分の肌に合ったシャンプーを使用する

男性用のシャンプーは、洗浄力の強いシャンプーが主流です。しかし、乾燥肌や敏感肌の方には、刺激が強い場合もあります。肌に合わない洗浄力の強いシャンプーの使用を続けると、頭皮を守るために必要な皮脂まで取り除いてしまい、乾燥などによる頭皮環境の悪化を招きます。その場合は、低刺激や敏感肌の方向けのシャンプーなど、ご自身に合うシャンプーを選ぶようにしましょう。

シャンプーやコンディショナーのすすぎを十分に行う

シャンプーやコンディショナーのすすぎを十分に行わない場合、頭皮に残ったシャンプーやコンディショナーが毛穴詰まりを引き起こし、髪の毛の成長を阻害する可能性があります。

ドライヤーで乾かす

髪の毛を濡れたまま放置すると、頭皮の乾燥や雑菌の繁殖などの頭皮環境の悪化を招くことがあります。頭皮を濡れたまま放置せずに、ドライヤーで乾かすようにしましょう。

生活習慣の改善

生活習慣の改善により頭皮環境を整えることができれば、髪に良い影響を与えることができるでしょう。生活習慣にはさまざまな要因がありますが、対策しやすい以下の4つを紹介します。

  • 栄養バランスの整った食事
  • 適度な運動
  • 十分な睡眠
  • 禁煙

栄養バランスの整った食事

髪を生やすためには、頭皮の環境を整える必要があります。頭皮環境のために改善できる手段の1つは、栄養バランスの整った食事を取ることです。

現代人は多忙な日々を送っており、コンビニやスーパーのお弁当・お惣菜で食事を済ませている方も多いかもしれません。しかし、このような生活では栄養が偏り、髪を生やすのに適切な頭皮環境を保つのは難しいでしょう。髪のためにもバランスの良い食事、具体的には、ビタミンやミネラル、たんぱく質を多く含んだ食品を摂取するのがおすすめです。

ビタミンを摂取することで、抗酸化作用や血行改善による頭皮環境を良い状態に保つ作用が期待できます。ビタミンを多く含む 食品は、肉や魚、緑黄色野菜、果物などです。

ミネラルの摂取も頭皮に良い影響を与えますが、その中でも特に亜鉛が効果的です。 亜鉛 は、髪の毛の主成分である「ケラチン」の生成を助け、AGAの原因である5αリダクターゼの生成を抑制するためです。ミネラルを多く含む食品は、牡蠣や豚レバー、ナッツなどの豆類があります。

たんぱく質の摂取は、ハリやコシがある髪になることにつながります。その理由は、髪の毛の主成分である「ケラチン」が、たんぱく質の一種であるためです。たんぱく質を多く含む食品は、肉や魚の他にも、大豆製品や乳製品、卵などがあります。

運動

血行不良は、髪の毛の発育に必要な血液が頭皮へ十分に届かなくなり、薄毛につながります。血行を改善するためには、適度な運動をしましょう。身体の血行がよくなれば、頭皮の血行も改善し、髪の毛の発毛や成長にも良い影響を与えられます。

十分な睡眠

健康的な頭皮を保つためにも、十分な睡眠は欠かせません。睡眠中に分泌される成長ホルモンによって、頭皮のターンオーバーをしたり、毛母細胞の増殖や活性化に必要な物質であるIGF-1が生成されたりするためです。しかし、慢性的な睡眠不足が続くと、このような成長ホルモンによる働きが行われなくなり薄毛につながります。

その状態を避けるためにも、一定の睡眠時間を確保することをおすすめします。適切な睡眠時間には個人差がありますが、厚生労働省が推奨している6~8時間の睡眠時間を目安にすると良いでしょう。

禁煙

お伝えしたようにタバコには、薄毛につながるような物質が多く含まれています。髪を大切にしたい方は、早めの禁煙をおすすめします。

もちろん、タバコには依存性があり、自分の力だけでは簡単に禁煙はできないかもしれません。しかし、現在では健康保険が適応される禁煙治療もあり、ご自身で禁煙するのが難しければ、医師に相談する方法もあります。

ストレスの解消

過度なストレスは、自律神経の乱れから頭皮の血行不良を引き起こします。そのため、ストレスを解消することで、薄毛の要因の1つである血行不良の改善が期待できます。

外出や読書、音楽鑑賞などストレスの解消法は様々ですが、ご自身に合うストレス解消法で対処すると良いでしょう。

外的要因を取り除く

帽子の着用やヘルメットの装着などの外的要因を取り除くことで、薄毛の改善が期待できます。

ファッションによる帽子の着用であれば、すぐに対処できるでしょう。しかし、難しいのがヘルメットの装着など、仕事に関連したものです。仕事でやむを得ずにヘルメットなどの装着が必要な場合は、ちょっとした空き時間に外すことで圧迫を減らしたり、血流改善のためのマッサージをしたりすると良いでしょう。

医師に相談

生活習慣の改善やヘアケアなどの対策を行っても改善が見られない場合は、医師に相談する方法もあります。最近は、薄毛治療に特化した専門のクリニックもあるため、受診しても良いでしょう。

後頭部の薄毛に関するよくある質問

最後に、後頭部の薄毛に関するよくある質問をまとめました。

Q.後頭部の薄毛はつむじとは違う?

はい、違います。つむじを後頭部と混同する方もいらっしゃいますが、後頭部はつむじよりも後ろ側にあります。

後頭部は、「サザエさん」に登場する波平さんの髪がたくさん生えている場所をイメージすると分かりやすいでしょう。

Q.後頭部が薄くなってきた時のおすすめの髪形は?

おすすめの髪形として、以下の3つを紹介します。

  • 全体的に短髪にする
  • 後頭部以外の髪の毛を伸ばす
  • パーマでボリュームアップする

1つ目は、髪全体を短髪にすることで薄毛の箇所を目立たせにくくする方法です。

2つ目は、後頭部以外の髪の毛を伸ばして後頭部に流すことで、目立たせにくくする方法もあります。その際の注意点としては、不自然にならないような形で流すと良いでしょう。

3つ目は、パーマでボリュームアップする方法です。ただし、パーマによる頭皮へのダメージがないとも限りません。パーマをかける前に、美容師によく相談してから行うと良いでしょう。

Q.男女で後頭部が薄毛になる原因は異なりますか?

異なる場合もあります。女性に多い3つの原因を紹介します。

  • 牽引性脱毛症
  • びまん性脱毛症
  • バセドウ病

1つ目の牽引性脱毛症は、髪の毛を強く引っ張ることで起こります。髪の毛を結ぶことで起こる症状のため、圧倒的に女性に多い症状と言えるでしょう。

2つ目のびまん性脱毛症は、行き過ぎたダイエットによる栄養失調が原因となるケースが多くあります。ダイエットは女性に多く見られる行動のため、こちらも女性に多い症状です。

3つ目のバセドウ病も、症状の1つに薄毛や脱毛の症状が見られます。バセドウ病は、女性の患者数が多く、男性の3~5倍というデータがあります。

まとめ

本記事では、後頭部がはげる原因や対策、AGAとの関係性について紹介しました。

後頭部の薄毛の進行は、ご自身で気付くのは難しいかもしれません。しかし、定期的に確認することで、進行する前に対処できるようになるでしょう。後頭部の薄毛はAGAとの関連性は低い一方で、生活習慣などの日々の行動が影響していることがお分かりになっていただけたかと思います。

本記事の内容を参考に、本日からでも後頭部の薄毛対策を始めてみてはいかがでしょうか。

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