- 「薄毛について調べていたらよくヘアサイクルって単語が出てくるけど何なんだろう…」
- 「ヘアサイクルが乱れると薄毛になるってどういうことなんだろう」
- 「乱れたヘアサイクルを元に戻す方法はないのかな」
この記事を読まれている方はこのような悩みを抱えているのではないでしょうか。そこで本記事ではヘアサイクルの概要からヘアサイクルが乱れる原因、そして対策方法について詳しく解説いたします。
最後にはよくある質問についてもまとめていますので、ぜひお目通しください。
目次
ヘアサイクルとは
髪の毛は永遠と伸び続けるということは無く、1本1本に寿命があります。
髪の毛が伸びては抜け落ち、そして新たな髪の毛が生えてくるといったサイクルを繰り返しているのです。この一連の流れをヘアサイクル(毛周期)と呼びます。
ヘアサイクルは大きく以下の3つの周期に分類されます。
- 成長期
- 退行期
- 休止期
各周期について、詳しく解説していきます。
成長期
成長期は髪の毛の基となる毛母細胞の分裂・増殖が活発になる時期です。
ヘアサイクルが正常である場合には、全体の周期のうち約80%~90%が成長期の状態であり、男性の場合は3年~5年、女性の場合は5年~7年ほど成長期が続きます。
成長期の中でも前期・中期・後期の3つの期間があり、早期の頃は毛母細胞が角化し、髪の毛が生まれたばかりの状態で毛穴の中に埋まった状態です。中期になると毛穴から産毛の様な状態で現れ、後期の状態で髪の毛として完成されます。
退行期
退行期は、成長期から休止期に移行するまでの期間。毛乳頭の働きが弱くなり、毛母細胞の分裂・増殖が徐々に衰えていくため、毛根部分が委縮して小さくなります。
退行期の期間は約2週間~3週間ほどと、成長期と比べてかなり短い期間であり、全体の周期のうち約1%ほどの割合です。
休止期
休止期になると毛乳頭の活動が完全に停止し、毛母細胞の分裂も止まり、新たに毛髪を作るための準備が行われます。
休止期の長さは約2カ月~3カ月ほどであり、周期のうち約10%~20%は休止期になります。
一生のうちに繰り返されるヘアサイクルの回数は20回~40回
また、ヘアサイクルはずっと行われ続ける訳では無く一生のうちに行われる回数は決まっています。
個人差があるものの、おおよそ20回~40回がヘアサイクルの上限と言われており、ヘアサイクルが終わってしまった毛包には、もう髪の毛が生えてくることはありません。
こうした理由があることから、薄毛対策は早期の対策が大切であると言われているのです。
ヘアサイクルが乱れてしまう原因
先にも述べた通り、正常なヘアサイクルの場合、男性であれば3年~5年ほど成長期が続きます。しかし、AGAをはじめとした、さまざまな原因によって成長期が極端に短くなってしまうことがあるのです。
成長期が短くなると髪の毛は十分に成長できずに、どんどん痩せ細っていってしまい、すぐに抜け落ち、薄毛が進行してしまいます。
ヘアサイクルが短くなる原因としては、主に以下の4つが挙げられます。
- AGA
- 血行不良
- 栄養不足
- 慢性的な睡眠不足
それぞれ詳しく解説していきます。
AGA
薄毛の原因として代表的なものがAGA(男性型脱毛症)。40代までの男性のうち、約3人に1人が発症しています。
AGAを発症すると、生え際である前頭部または頭頂部から徐々に薄毛になっていき、最終的には前頭部から頭頂部にかけて、髪の毛が無くなります。
AGAが発症する原因
AGAが発症する原因としては、男性ホルモンが大きく関係しています。
男性ホルモンであるテストステロンと、還元酵素である5αリダクターゼが結合することで、DHT(ジヒドロテストステロン)と呼ばれる男性ホルモンが生まれます。
そして、DHTは毛乳頭細胞にある男性ホルモン受容体(アンドロゲンレセプター)に結合し、脱毛因子であるTGF-βを増やすのです。
TGF-βの働きによって、髪の毛の基となる毛母細胞の増殖は抑制され、髪の毛の成長期が極端に短くなることから、徐々に薄毛が進行していきます。
「ハゲは遺伝」とよく言われますが、これは男性ホルモン受容体の量が遺伝によって大きく左右されるためです。いくらDHTの生成量が多くとも、受容体が少なければ脱毛因子が増えることはありません。
また、受容体の量については母親から遺伝するため、母方の家系に薄毛の方がいる場合には注意した方がいいでしょう。
血行不良
血行不良とは血液の流れが悪くなること。髪の毛の栄養は血液を介して髪の毛に届けられているため、血液の流れが悪いと髪の毛がしっかりと成長できずに、すぐ退行期・休止期へと移ってしまいます。
血行不良になる原因
血行不良になる原因はさまざまですが、生活習慣の乱れが主な原因として考えられます。具体的には
- 運動不足
- ストレス
- 慢性的な睡眠不足
- 食生活の乱れ(ビタミン群の不足)
といった内容が挙げられます。血行不良になると薄毛を引き起こすだけでなく、肩こりや腰痛、冷え性などの症状も引き起こしてしまいます。
栄養不足
髪の毛が作られる際には、多くの栄養素が必要です。そのため、偏った食生活をしていると、栄養が足りずに髪の毛が十分に成長できず、これまでの原因と同様にすぐに成長期がストップしてしまいます。
髪の毛の8割~9割はタンパク質で作られている
髪の毛の8割~9割はケラチンと呼ばれるタンパク質で作られており、このタンパク質は18種類ものアミノ酸によって構成されています。
こう聞くと「じゃあ、タンパク質だけ摂れば髪の毛の栄養は問題ないか」と考える方もいますが、それは間違いです。タンパク質が合成されるにあたって、ビタミン群やミネラルなど様々な栄養素が必要となるため、満遍なく摂取する必要があります。
慢性的な睡眠不足
髪の毛の基となる毛母細胞が活性化するにあたって、成長ホルモンは重要な役割を担っています。男性の場合、成長ホルモンの約6割は睡眠中に分泌されると言われており、慢性的な睡眠不足が続くと、成長ホルモンが十分に分泌されません。
成長ホルモンの分泌量が減ると、当然毛母細胞の活動も弱まり、成長期がすぐに終わってしまうのです。
成長ホルモンの分泌には睡眠の質の良し悪しも重要
成長ホルモンの分泌には睡眠の質も重要です。成長ホルモンの分泌量は睡眠から90分後にピークを迎えますが、この時にレム睡眠(浅い睡眠)ではなくノンレム睡眠(深い睡眠)の状態である必要があります。
ヘアサイクルを整える方法
ヘアサイクルを整えるというのは、つまり正常な成長期の長さに戻すということでもあります。そのため、髪の毛の基となる毛母細胞や毛乳頭を活性化させたり、血行を促進して髪の毛に十分な栄養を行きわたらせたりする必要があるのです。
ヘアサイクルを整える具体的な方法としては主に以下の2点が挙げられます。
- AGA治療を受ける
- 生活習慣を改善する
それぞれ、詳しく解説していきます。
AGA治療を受ける
ヘアサイクルが乱れている原因がAGAである場合、AGA治療を受けるのが最も効果的な対策であると言えるでしょう。
治療に使用される薬剤としてはフィナステリド・デュタステリド・ミノキシジルタブレット(又は外用薬)の3種類。フィナステリドとデュタステリドにはDHTの基となる5αリダクターゼの活動を抑制し、ミノキシジルタブレットは毛母細胞・毛乳頭の活性化と血行促進の効果があります。
母方の家系に薄毛の方がいたり、薄毛が生え際から進行しているような場合には、一度専門のクリニックで受診してみると良いでしょう。
生活習慣を改善する
原因の章でも述べた通り、ヘアサイクルが乱れる原因には、栄養不足や睡眠不足などさまざまな生活習慣が大きく関係しています。そのため、薄毛に悩みはじめたら、まずは生活習慣の見直しから行いましょう。
実践する内容としては、主に以下の3つが挙げられます。
- 睡眠を改善する
- 食生活を改善する
- 適度な運動を行う
それぞれ詳しく解説していきます。
睡眠を改善する
先にも述べた通り、髪の毛の基となる毛母細胞の増殖には成長ホルモンがかかせません。そして、成長ホルモンを十分に分泌させるためには、睡眠の長さと質が重要です。
適切な睡眠の長さは人によって異なり、実は未だに十分な研究データはありません。ただ、厚生労働省が発表している「健康づくりのための睡眠指針」では6時間~8時間ほどを目安としている上、成長ホルモンの分泌が落ち着く頃は入眠から6時間経過したあたりのため、6時間~8時間ほどの睡眠を取ればよいでしょう。
また、成長ホルモンの分泌には睡眠の長さだけではなく、睡眠の質も大きく関係しています。成長ホルモンの分泌量は入眠後90分後にピークを迎え、この時にいかに深い睡眠であるかが重要です。
睡眠の質を改善する方法としては
- 入眠前に液晶を見ない(スマートフォンやパソコン、テレビ等)
- 入眠3時間前の間に激しい運動を行わない
- 静かな空間を作る
- 十分に暗い空間を作る
- 入眠前に入浴をし副交感神経を優位にさせる
などが挙げられます。
食生活を改善する
髪の毛の成長にはさまざまな栄養がかかせません。そのため、インスタントラーメンやハンバーガーなどのジャンクフードばかり食べていては髪の毛が十分に成長することができません。食生活を改善し、髪の毛に必要な栄養素を意識的に摂る必要があります。
特に取り入れるべき栄養素は以下の7種類です。
栄養素 | 詳細 |
---|---|
タンパク質 | 髪の毛の基となる栄養素です。 髪の毛の成分は8割~9割はケラチンというタンパク質で生成されています。 鶏肉や牛肉、卵などからアミノ酸が豊富なタンパク質を摂取することができます。 |
システイン | システインはアミノ酸の一種です。 ケラチンは18種類のアミノ酸から生成されるタンパク質ですが 最も含有率の高いアミノ酸がシステインです。 タンパク質の中に含まれているため、鶏肉や牛肉、卵などから摂取ができます。 |
メオチニン | メオチニンはアミノ酸の一種です。 システインを合成するためのアミノ酸である上、ケラチンに合成されているアミノ酸の一種でもあります。 タンパク質の中に含まれているため、鶏肉や牛肉、卵などから摂取ができます。 |
亜鉛 | 亜鉛はミネラルの一種です。 亜鉛はケラチンの合成を促進させる効果を持つ他、AGAの原因でもある5αリダクターゼを抑制する効果も持ちます。 牡蠣や豚レバー、牛肉の赤身などから摂取することができます。 |
ヨード | ヨードはミネラルの一種です。毛母細胞の分裂を促す働きがあります。 主に海藻類に含まれており、昆布やひじきなどから摂取することができます。 |
ビタミンB2 | ビタミンB2はビタミンB群の一種です。 毛母細胞の分裂を促進させる上、過剰な皮脂分泌の抑制など髪にとって様々な良い効果を持ちます。 レバーやハツ、卵などから摂取することができます。 |
イソフラボン | イソフラボンはポリフェノールの一種です。AGAの原因である5αリダクターゼの抑制をサポオートする働きがある上、女性ホルモンであるエストロゲンの様な働きを持つため、AGAに対して効果的な成分です。 主に大豆から摂取することができます。 |
栄養バランスが大事といっても、常に栄養バランスを計算しながら食事を摂るのは、よほど意識の高い方でなければ難しいでしょう。サプリメントやプロテインなどの栄養補助食品を使用しても問題ありませんので、できることから始めてみましょう。
適度な運動を行う
適度な運動を行うことで、血行促進が期待できます。有酸素運動・無酸素運動どちらでも血行促進効果が期待できるため、ご自身が行いやすい運動からはじめてみるといいでしょう。
運動の時間を確保するのが難しいという方は、常日頃から体を動かすことを意識しましょう。例えばエスカレーターやエレベーターを使わず階段を使ったり、出前を使わずに近くの飲食店まで歩いてみるといったことでも構いません。
ヘアサイクルに関するよくある質問
最後に、ヘアサイクルに関するよくある質問についてまとめました。
Q. 育毛剤を使用することでヘアサイクルの乱れを治すことはできますか?
育毛剤を使用することでヘアサイクルの乱れを改善することはできるでしょう。しかし、育毛剤の主な役割は抜け毛の予防や今ある髪の毛を健康的に保つという内容のため、既に髪の毛が無くなってしまった髪の毛を新たに生やすという点においては十分な効果が得られないため注意が必要です。
さまざまなメーカーから育毛剤が販売されており、製品によって期待できる効果は異なりますが、育毛剤で期待できる効果は
- 毛母細胞・毛乳頭の活性化
- 血行促進
- 保湿などによる頭皮環境の改善
などが挙げられます。
Q. 加齢によってヘアサイクルが乱れることはありますか?
加齢によってヘアサイクルが乱れることはあります。加齢に伴い毛母細胞や毛乳頭の働きは弱まる他、女性の場合にはホルモンバランスが乱れることで、ヘアサイクルが乱れてしまいます。
加齢自体は防ぎようのないことですが、先にご紹介した対策方法を実践することでヘアサイクルの乱れを改善することはできるでしょう。
Q. ヘアサイクルを改善するにはどれぐらいの期間が必要ですか?
個人差があるものの、対策を行うことで半年ほどでヘアサイクルの改善が期待できます。
理由としては退行期・休止期は約3カ月ほどあり、それらが終了して成長期に移り変わって髪の毛が成長するまでに、半年ほどの期間を要するためです。
まとめ
今回はヘアサイクルについて解説させていただきました。本記事の重要なポイントは以下のxつです。
- ヘアサイクルは成長期・退行期・休止期の3つから構成されている
- ヘアサイクルが行われる回数は一生のうちに20回~40回であり、ヘアサイクルが終了した毛包には髪が生えてこない
- ヘアサイクルが乱れ成長期が短くなると薄毛になってしまう
- ヘアサイクルの乱れはAGA治療や生活習慣の改善によって治すことができる