肥満はハゲる?薄毛・抜け毛との関係性や肥満の対策法などを解説!

「デブはハゲるって本当?」

「最近太ってきたけど薄毛も進行してしまうのかな」

上記のような不安をお持ちの方は多いものです。肥満とハゲの関係性が明確になれば、薄毛・抜け毛を効率よく予防していくことができるのではないでしょうか。

そこで今回は肥満と薄毛の関係性や肥満とはどういった状態か、肥満による薄毛の対策などについてお話しします。ぜひ最後までお見通しください。

肥満と薄毛・抜け毛はどう関係がある?

肥満と薄毛には下記のような関係性があります。

  • 血行不良
  • ホルモンバランスの乱れ
  • 偏った食生活

以下にて、それぞれ解説します。

血行不良

肥満の状態では血液中の脂質が異常をきたし血行不良が生じやすく、頭部の毛細血管まで酸素・栄養が十分に行き届かないことがあります。

脂質の異常な状態とは、悪玉のコレステロール・血液中の中性脂肪が過剰となったり、善玉のコレステロールが大幅に減少したりしていること。過食によって脂肪細胞に脂肪滴が蓄えられると、脂肪細胞が遊離脂肪酸となり血液に放たれてしまいます。

この血中の遊離脂肪酸は体を動かすエネルギーなどに利用されますが、余ってしまった脂肪酸は肝臓にて中性脂肪・コレステロールに変換され、再び血液中に放たれます。この代謝が連続することによって血液中の脂質量が過剰になると、血液がドロドロになり血流が悪くなってしまうのです。

 肥満による血行不良が起きると、髪の毛の成長・頭皮の正常な環境に必要な栄養素・酸素が十分に頭部まで運ばれなくなり、薄毛・抜け毛を引き起こしかねません。

脂肪滴とは

細胞が中性脂肪を溜めておくための構造。エネルギーの生成・たんぱく質の分解などに作用し、細胞の恒常性を保つ役割を担っている。過剰に蓄積されることによって肥満の引き金となる。

ホルモンバランスの乱れ

肥満は脱毛因子の基となる男性ホルモンであるDHTを増やし、薄毛を引き起こす要因となります。そのメカニズムを以下にて解説します。

薄毛とホルモンの関係

そもそも、DHTとは主要な男性ホルモンであるテストステロンが酵素の5αリダクターゼと結合することによって生成されるもの。しかし、全てのテストステロンがDHTに変換されるわけではなく、ほとんどのテストステロンはSHBG(性ホルモン結合グロブリン)・アルブミンと結合した状態で維持されています。

つまり5αリダクターゼと結合してDHTを生成するのは、SHBG・アルブミンとの結合から漏れ単独の状態で血中に遊離した少数のテストステロンなのです。

肥満とホルモンバランスの関係

肥満の状態では脂肪細胞の働きによってインスリン(血糖値を一定に保つ役割を担うホルモン)の働きが弱まります。インスリンが十分に作用しなければ、人体は不足分を埋め合わせるように更なるインスリンを分泌するのです。

しかしインスリンが過剰に分泌されることによってSHBGの生成が抑制され、遊離した状態のテストステロンが増加してしまうこととなります。九州大学健康科学センターなどによる報告では、SHBGの状態がインスリンの抵抗性(インスリンが各器官に効きにくくなっている状態)を判断する基準となることが述べられています。参考:高齢者女性における脂質代謝指標 と性ホルモン, 性ホルモン結合蛋白 (SHBG), インスリン抵抗性

インスリンの抵抗性が強まり分泌が増えやすい肥満体質の方は、DHTが生成されやすく薄毛を引き起こしやすい状態なのです。

偏った食生活

肥満の方に多い糖質・脂質に偏った食生活は、薄毛を引き起こす要因になります。

なぜなら、糖質・脂質の過剰な摂取は細胞・血液の脂質異常を引き起こすためです。

例えば、東京医科歯科大学や東京大学医科化学研究所、株式会社アデランスなどの共同研究によると、高脂肪の食事が毛包幹細胞を異常分化・枯渇させることが明らかになりました。

参考:高脂肪食などによる肥満が薄毛・脱毛を促進するメカニズムの解明―幹細胞における炎症・再生シグナルの異常が毛包の萎縮を引き起こす― | 国立研究開発法人日本医療研究開発機構

また、糖質の過剰な摂取においてもエネルギーに変換されず余った糖質が中性脂肪に変換されてしまい、血液の粘度が上昇。その結果、血がドロドロになってしまい血行不良を引き起こすこととなります。

糖質・脂質に偏った食事は髪の毛の成長に必要なタンパク質やビタミン、ミネラルが不足しやすいものでもあります。こういった食生活を続けている肥満の方は、薄毛を引き起こしやすいといえるでしょう。

肥満とはどういった状態?

自分自身が肥満であるかどうか、判断しづらいもの。自分の体の状態を明確に知る上で有用な方法がBMI(肥満度指数)を計算することです。BMIは下記の計算式によって求めることができ、結果が25以上である場合は肥満と判断してよいでしょう。

BMI=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)

 また、BMIが35を超える場合は重度の肥満とされ、糖尿病や高血圧、うつ病などの二次的な疾患を引き起こす可能性が高まります。心身の健康を維持するためにも、健康的な体型の維持に努めることが重要です。

肥満のメカニズムについて

肥満は白色脂肪細胞が通常の人よりも多いことで生じます。

白色脂肪細胞とは
摂取した脂質を脂肪滴として取り込み、細胞内に溜め込む性質を持つ細胞のこと。

食事から糖質・脂質を摂りすぎてしまうことによって白色脂肪細胞に脂肪滴が蓄積し、約2倍の大きさにまで肥大。これに伴い、白色脂肪細胞の多い尻や二の腕、内臓などの部位も肥大化することとなるのです。

また、白色脂肪細胞は限界値まで肥大化すると新たな白色脂肪細胞を生み出し、更なる脂肪滴の蓄積を行います。白色脂肪細胞の数が増え蓄積される脂肪滴が増えると、体もブクブクと太ってしまうわけです。

京都大学大学院農学研究科の調べによると、平均的な体型の人の白色脂肪細胞は300億個程度であるのに対し、肥満体型の人の白色脂肪細胞は400億から600億個程度とされています。参考:脂肪摂取と肥満発症に関する栄養学的研究 -前駆脂肪細胞増殖因子(PAGF)を指標とした分子栄養学的解析-

つまり、肥満体型の人は通常よりも太りやすい傾向にあるといえるでしょう。

薄毛につながる肥満を解消するにはどうすればいい?

薄毛を引き起こす大きな要因である肥満は下記に挙げる方法で解消することができます。

  • 運動
  • 食生活の改善
  • ストレスの解消

以下にてそれぞれの方法を具体的に解説します。

運動

運動は肥満を解消する上で有効です。なぜなら、運動によりエネルギーが消費され体内にエネルギーが不足した状態になると、脂肪細胞の脂肪滴が分解されエネルギーの産生に使われるためです。

兵庫県立大学大学院生命理学研究科の研究では、エネルギー不足時には脂肪滴がグリコーゲンという糖と脂肪酸に分解され、各々がエネルギーを産むということが分かりました。特に脂肪酸は酸化の過程を経て分解されることで大きなエネルギーを産生するため、肥満の解消には大量の酸素を要する有酸素運動が効果的であることが述べられています。

参考:脂肪の代謝とその調節―からだのエネルギーバランス

肥満を解消して薄毛の改善を目指したい方は、ジョギングやスイミング、サイクリングなどの運動を最低20分以上は続ける習慣を心掛けましょう。

有酸素運動とは

有酸素運動とはある程度時間をかけつつ筋肉に負荷を掛け行うもの。筋肉を動かすためのエネルギーを生成するにあたって、糖・脂肪の代謝が酸素を使って行われるため有酸素運動と呼ばれる。

食生活の改善

肥満を改善する上で中性脂肪を溜め込まない食生活を心掛けることが重要です。また、その他にも代謝の促進に効果的な栄養素を取り入れていくと良いでしょう。以下にて肥満の解消に有効な食事について解説します。

中性脂肪の増加を避けるためには

中性脂肪の増加を避けるためには、糖質に偏った食事・たんぱく質が不足した食事は控える必要があります。なぜなら、血糖値が上がることで分泌されるインスリンは血中の糖を中性脂肪に変換する働きがあったり、たんぱく質の不足でインスリンの分泌が抑制されると、インスリンの脂肪を合成する作用が強まってしまったりするためです。

お茶の水女子大学などの研究によると、過栄養状態のマウス・タンパク質不足のマウスの脂肪肝の形成が通常よりも著しいことが報告されています。

参考:タンパク質栄養状態悪化による肝脂肪蓄積の機構

肥満を解消して薄毛を予防するためには、糖質を抑え良質なたんぱく質を摂ることを心掛けると良いでしょう。肉や魚、大豆製品をおかずに取り入れたりご飯を少なめにしたりすることがおすすめです。

代謝を良くするためには

また、体内の活性酸素を除去することで血管を強く保ってくれるビタミン類・血圧の調整や代謝の手助け、エネルギー産生のサポートなどに働くミネラル類を摂取することも肥満の解消に有効です。

名古屋学芸大学健康栄養研究所の調べでは、内臓脂肪型肥満の対象者は平均的な体型の対象者よりもたんぱく質をはじめビタミンやミネラル、食物繊維などの摂取量が有意に低いことが分かっています。

参考:内臓脂肪型肥満の栄養摂取状況の検討

頭皮の環境を整えたり健全な髪の毛を形成したりする上でもビタミン・ミネラルは欠かせない栄養素となるので、食生活に取り入れるように心掛けましょう。忙しくて栄養の管理が難しい場合、サプリメントを生活に取り入れてみても良いでしょう。

ストレスの解消

慢性的なストレスも肥満の要因のひとつ。ストレスを感じることで分泌されるコルチゾールホルモンが慢性的に過剰な状態に陥ることで、脂肪を溜め込みやすくなってしまうのです。

徳島大学大学院などの研究では、急性のストレスで分泌されるコルチゾールが脂質の分解に働く一方、コルチゾールが慢性的に過剰な状態では、脂質の合成に作用するインスリンの分泌を強めてしまうことが分かっています。

参考:3.コルチゾールと脂質代謝

肥満を避けるためにも、不規則な生活や運動不足、食生活の乱れなどを改善してストレスに負けない体作りを行うことが大切。また、日常にリラックスできる時間を設け、自分の心・体と向き合うことも必要です。

まずは朝ご飯をゆっくり食べる時間を作ったり、シャワー浴から湯船での入浴に変えてみたりすることから始めてみてはいかがでしょうか。

肥満とハゲの関係についてよくある質問

最後に肥満とハゲの関係についてよく挙がる質問を紹介いたします。

Q.痩せたら髪が生えますか?

肥満の解消は薄毛の対策に繋がるものです。ダイエットする上で重要なポイントは、髪に必要な栄養素の摂取を意識しつつ、適度な運動や糖質の制限、十分な睡眠などを心掛けることです。くれぐれも、ストレスの引き金となる無理な食事制限・運動などは控えておきましょう。

Q.肥満で抜け毛がひどいのは病気かもしれませんか?

肥満で脱毛がひどい場合、糖尿病によるホルモンの異常な分泌や血流の顕著な悪化、肝臓の疾患などが隠れている可能性があります。また、慢性的なストレスに晒されている可能性があるため、精神疾患の発症にも留意しておく必要があります。

急激に抜け毛が進行してしまった場合、自分の体と向き合い脱毛の裏に潜む原因を突き止めることが重要。必ずクリニックに相談するようにしましょう。

Q.急に髪が薄くなったのは肥満のせいですか?

急激な薄毛の原因のひとつとして肥満は考えられますが、その他複合的な要因から薄毛が生じている可能性があります。例えば遺伝による男性型脱毛症の発症や自己免疫疾患による円形脱毛症、その他外的要因や過度のストレスなど脱毛の原因は様々。

薄毛の進行が急速な場合、原因を突き止めるためにもクリニックに相談してみてはいかがでしょうか。

Q.禿げやすい人の主な特徴は肥満ですか?

禿げやすい人の特徴として様々な特徴が挙げられます。例えば、薄毛家系であることやストレスが過剰であること、不規則な生活をしていることなどは禿げやすい人によくある特徴。

また、これらに該当しない場合でも誤ったヘアケア・過度な紫外線といった外的要因によって禿げやすくなることもあります。薄毛にはあらゆる要因が考えられることを考慮しておきましょう。

Q.薄毛が治る前兆はありますか?

薄毛が治る前兆を見極める上で、抜け落ちた毛の質をチェックすることをおすすめ。抜けた毛の質が細かったり短かったりするものから、太く長いものへと変わりつつある場合、薄毛の改善の兆しかもしれません。

また、頭皮の環境が整ってきたり髪の質にハリ・ツヤを感じられたりすることも、頭皮・髪の毛に必要な栄養素が頭部に行き届き始めた兆しと考えて良いでしょう。

まとめ

今回は肥満とハゲの関係性や肥満の原因、肥満の解消法などについてお話しさせていただきました。改めて、本記事の重要ポイントを下記にまとめます。

  • 肥満の人に多い血行不良やホルモンバランスの乱れ、偏った食生活は全て薄毛の要因である。
  • 肥満とはBMIが25以上の状態をさす。
  • 薄毛を予防するために肥満を解消するには運動や食生活の改善、ストレスの解消などがおすすめである。

本記事を通して、肥満から来る薄毛に悩む方々がそのメカニズムを理解し、肥満と薄毛の両方を改善していける手助けができれば幸いです。

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