頭皮が脂っぽいと薄毛になりやすい?原因と対策方法について解説

「頭皮が脂臭い」「頭皮がべたついてフケが出る」と悩んでいませんか?髪がべたつくのは頭皮の皮脂が過剰に分泌されていることが原因です。

頭皮のべたつきを放置すると、肌トラブルが起き、薄毛や抜け毛に繋がることも。この記事では頭皮の過剰な皮脂分泌が起こる原因や、対処法について解説します。

過剰な皮脂分泌によって「脂漏性脱毛症」を起こす可能性がある

頭皮は1日に1~2gの皮脂を分泌し、肌に含まれた水分の蒸発を防いだり、外部の刺激から守ったりと、皮膚にとって重要な役割を果たします。

そのため、皮脂自体は体にとって悪いものではありません。しかし、何らかの原因で皮脂量が増えすぎると、抜け毛を増やしてしまうことがあります。それが脂漏性脱毛症です。

脂漏性脱毛症とは?

脂漏性脱毛症とは、皮脂の過剰分泌が原因で抜け毛が増えてしまう脱毛症の1つです。髪を洗ってもすぐに皮脂が分泌されベタ付きを感じることで、症状に気が付く人が多いとされています。

正常な頭皮は肌のバリア機能により皮脂量のバランスが保たれて、肌が潤った状態を維持しています。しかし皮脂量のバランスが崩れてしまうと、赤みやかゆみ、フケといった症状を引き起こします。

このような頭皮トラブルが原因で頭皮環境が悪化し、健康な髪が成長しにくくなることで、抜け毛が増える可能性があるのです。

脂漏性脱毛症とAGAは全く異なるもの

「抜け毛」と言うとAGAをイメージする人も多いでしょう。脂漏性脱毛症とAGAは抜け毛・薄毛が増えるという共通の症状があるものの、根本は全く異なる病気です。

AGAの原因はDHT(ジヒドロテストステロン)と呼ばれる男性ホルモンであるのに対し、脂漏性脱毛症は皮脂の過剰分泌が原因です。

そのため、脂漏性皮膚炎とAGAに関係はありません。

AGAとは、成人男性が発症する脱毛症で、徐々に薄毛・抜け毛が進行する疾患です。「Androgenetic Alopecia」の略称で、男性型脱毛症とも呼ばれています。

頭皮の過剰な皮脂分泌が起こる原因

そもそも髪がべたつくのは頭皮の皮脂が過剰に分泌されていることが原因です。皮脂の過剰分泌にはさまざまな原因がありますが、主に以下の5点が挙げられます。

  • 食生活の乱れ
  • 睡眠不足
  • 洗髪が正しくできていない
  • シャンプーが合っていない

それぞれ詳しく解説していきます。

食生活の乱れ

脂肪分の多い食事はもちろんですが、動物性脂肪や糖質を多く含む食品には皮脂腺を刺激し、皮脂の分泌を促す作用があります。これらの食事は取り過ぎないよう意識しましょう。また、ビタミン類の不足にも注意が必要です。皮脂分泌をコントロールするビタミンB2やB6が不足すると皮脂の過剰分泌に繋がります。

睡眠不足

睡眠不足が続くと交感神経が活発になり、男性ホルモンの分泌が盛んになります。その結果、皮脂分泌が増えて頭皮の脂っぽさが目立つようになります。

運動不足

運動不足が続くと、血行不良を引き起こす可能性があり、それに伴いターンオーバーの乱れを招きます。これにより、肌のバリア機能が弱まってしまい、結果として肌は外部刺激から守ろうと、過剰な皮脂を分泌することになります。

洗髪が正しく出来ていない

健康な髪を育てるために重要な洗髪ですが、正しいやり方を理解している人は意外と少ないもの。皮脂をしっかり落とそうとして、頭皮を強く擦ったり、熱いお湯で洗髪したりしていませんか?肌の乾燥を引き起こし、かえって皮脂量が増えることになります。

シャンプーが合っていない

頭が脂っぽいのが気になって洗浄料の強いシャンプーを選んでいませんか?実は洗浄力が強いシャンプーを使用してしまうと必要な皮脂まで洗い流してしまい、頭皮が不足した皮脂を出そうと過剰分泌が起こり、かえって頭皮のべたつきが悪化する可能性があります。

頭皮の過剰な皮脂分泌を対策する方法

毎日の生活習慣や頭皮ケアを見直すことで、皮脂の過剰分泌を予防できます。毎日の積み重ねが大切なので、自分に出来そうなものから取り入れてください。

①食生活の見直し

頭皮に限らず、毎日の健康のためにはバランスの取れた食事を意識しましょう。揚げ物やジャンクフードなど脂っぽい食事は控えて、脂質の少ない食事を取るのがおすすめです。

また、ビタミン類をしっかり取ることも皮脂の過剰分泌を抑えるのに有効です。皮脂量をコントロールする作用が期待できます。

②十分な睡眠を取る

睡眠不足を解消することで、男性ホルモンのバランスが整い皮脂の過剰な分泌が抑えられます。

③運動の習慣をつける

体を動かすことでストレスが発散され、ホルモンバランスが整い皮脂の分泌量が抑えることができます。

④正しい方法で洗髪する

しっかり頭皮を洗おうと思って、ゴシゴシ頭皮をこするように洗ったり、熱めのシャワーで髪を洗ったりしていませんか?実はこれらは頭皮にとってNG。できるだけ優しく洗うことが重要です。指の腹で円を描くように洗い上げましょう。

また、シャワーの温度にも注意が必要です。高い温度で頭皮を洗うと、必要な皮脂まで洗い流してしまい乾燥が進み、皮脂の分泌量が増えてしまいます。お湯の温度は37度~40度がおすすめです。

⑤自分に合ったシャンプーを選ぶ

年齢とともに肌質は変わるため、何年もずっと同じシャンプーを使っている方は、毎日使うシャンプーを見直しましょう。シャンプーを変えることで、皮脂の過剰分泌が改善することがあります。乾燥肌の方なら「乾燥肌用」、敏感肌の方なら「敏感肌用」など、肌質に合わせてシャンプーを選んでください。

次の章では、自分に合ったシャンプーを選ぶポイントを紹介します。

頭皮の皮脂分泌が多い方がシャンプーを選ぶときに大事なポイント

頭皮の脂っぽさが気になる方は、シャンプーを選ぶ際には「成分」に注目してみましょう。自分の肌質に合ったものをチェックしてくださいね。

さっぱりとした洗い上がりを重視するなら「高級アルコール系」

高い洗浄力で泡立ちが良く、さっぱりとした洗い上がりを求める方におすすめなのが「高級アルコール系」です。具体的には以下のような成分が挙げられます。

  • ラウレス硫酸Na
  • ラウリル硫酸Na
  • ラウレス-3 硫酸Na

頭皮の脂っぽさが気になる方や、汗っかきの方に向いています。ただ、人によっては洗浄力が強すぎて頭皮の乾燥やかゆみを引き起こすことがあるので、自分の頭皮と相談しながら使いましょう。

デリケートな肌なら「せっけん系

せっけん系は化学物質に敏感で、添加物が気になる方におすすめです。主に以下のような成分が挙げられます。

  • せっけん素地
  • 石ケン素地
  • 脂肪酸Na
  • 脂肪酸K

ただ、キューティクルを開いて汚れを書き出すため、髪の毛がきしむことがあります。気になる場合はリンスやトリートメントを使って手入れしましょう。

乾燥が気になるなら「アミノ酸系

「高級アルコール系」「せっけん系」と比べると洗い上がりはマイルドですが、頭皮への負担が少ないのが特徴的なのが「アミノ酸系」です。主に以下のような成分が配合されています。

  • ココイルグリシンK
  • ココイルグルタミン酸Na
  • ラウロイルグルタミン酸Na
  • ココイルグルタミン酸TEA
  • ココイルメチルタウリンNa

アミノ酸系は比較的どんな肌質の方でも、負担なく使えます。また、カラーやパーマをしている人にもおすすめで、パサつきや髪へのダメージが抑えられます。皮脂分泌は気になるが、髪や頭皮への負担を減らしたい方に向いています。

低刺激にこだわるなら「ベタイン系」

アミノ酸よりもよりマイルドで低刺激なシャンプーが良い方におすすめなのが「ベタイン系」です。主に以下のような成分が配合されています。

  • ココイルグルタミン酸TEA
  • ラウロイルグルタミン酸Na
  • コカミドプロピルベタイン
  • ラウラミドプロピルベタイン
  • ラウリルヒドロキシスルタイン

赤ちゃん用として使われることもあります。頭皮の赤みやフケ、肌荒れがひどい場合におすすめです。

皮脂分泌の抑制効果があるオススメの成分

ここでは皮脂の過剰分泌を抑制するために、摂るべき栄養成分について紹介します。

栄養素豊富に含まれる食材1日の摂取推奨量説明
ビタミンB2 鶏卵/カマンベールチーズ/鶏レバー/豚レバー/うなぎ/焼きのり/干し椎茸/唐辛子/アーモンド/乾燥わかめ 男性 1.6mg / 女性 1.2mg ビタミンB2はビタミンB群の一つで水溶性のビタミンです。脂質の代謝を助け、皮膚や粘膜、髪、爪などの細胞の再生に役立ちます。このことからビタミンB2は美容のビタミン、発育のビタミンとも言われています。皮脂の分泌を抑制する効果が期待できます。
ビタミンB6 マグロ赤身/牛レバー/ビーフジャーキー/かつお/鶏ささみ/鶏レバー/にんにく/ピスタチオ/ごま/玄米 男性 1.4mg / 女性 1.1mg ビタミンB2もビタミンB群の一つで水溶性のビタミンです。身体のなかのさまざまな化学反応を支える物質で、特にアミノ酸の代謝を助ける重要な役割を果たしています。皮膚の新陳代謝が活発になり、美肌をサポートし、皮脂をコントロールする働きが期待できます。
ビタミンC アセロラ/ゆず/キウイフルーツ/レモン/ピーマン/ブロッコリー/ほうれん草/キャベツ/ジャガイモ/サツマイモ 男性・女性ともに 100mg 脂質代謝やホルモンの生成など、体の様々な反応に関わるビタミンです。主に野菜や果物に豊富に含まれています。また、体内で生成できない栄養なので、食品から摂取する必要があります。食事1回で摂るのではなく、1日3食に分けて摂取すると良いでしょう。毛穴から排出される皮脂の量を抑える働きが期待できます。
オメガ3(n-3系脂肪酸) イワシ/ニシン/サバ/天然サケ/タラコ/ツナ缶詰/くるみ/ナタネ油/大豆/卵 男性 2.0g / 女性 1.6mg オメガ3(n-3系脂肪酸)は肌の生まれ変わりを司る細胞の機能を高め、ターンオーバーを整える働きがあります。「脂肪」と付くので体に悪いイメージを持つ人もいますが、実際はアンチエイジングや生活習慣病の予防の効果が期待できる栄養素です。

皮脂を増加させニキビの原因となる分子「ロイコトリエンB4」の生成を抑制する働きがあります。

※  30歳〜49歳の場合

※ 「日本人の食事摂取基準(2020年版)」より

最後に

今回は皮脂の過剰分泌の原因や対策について解説しました。本記事の重要なポイントは以下の3つです。

  • 過剰な皮脂分泌は「脂漏性脱毛症」を引き起こし、抜け毛の症状に繋がることがある
  • AGAと脂漏性脱毛症は別物である
  • 生活習慣や頭皮ケアを見直すことで、頭皮の過剰な皮脂分泌を抑制することができる

頭皮のべたつきはセルフケアで改善される場合もあります。しかし、セルフケアだけでは改善されないこともあるため、一度クリニックに受診することをおすすめします。

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